1. Home
  2. ブログ
  3. ロボットとサーボプレス:一瞬でフリットをプレス
エンクロージャ内のロボット、その隣にグラフィックを示すスクリーン
エンクロージャ内のロボット、その隣にグラフィックを示すスクリーン
リニアモーションテクノロジー

ロボットとサーボプレス:一瞬でフリットをプレス

化学業界向けのフリットの自動組立用に、スイスの特殊機械メーカーであるCerasus GmbHは、柔軟性の高いロボットセルを導入しました。セルに組み込まれたボッシュ レックスロスのサーボプレスが、フリット組立の生産性、プロセス品質と柔軟性を向上させます。

特殊機械の製造には、既製品はありません。とはいえ、標準化されたソリューション パッケージはエンジニアリングや実装における貴重な時間を節約する上で大きなアドバンテージとなります。スイス、シュタイナー市のCerasus社は、ボッシュ レックスロスのプレスおよび接合用途向けメカトロニクス サブシステムを採用することで、複雑な組立作業を簡素化しています。すぐに使用可能な状態で提供され、一体型力学センサーにより測定機能をのマッピングも可能です。
Cerasus社から委託を受けて開発されたフリット組立用セルには、ボッシュ レックスロスのメカトロニクス パッケージが使用されています。これらは、医療や化学技術用の流量制限器を製造するために、スリーブに圧入される金属製の小さな円筒形の素材です。

柔軟なロボットセル、6軸ロボットとSmart Function Kit・プレス搭載

CERAFLEX組立用セルは、Fruitcore Robotics製の6軸ロボットと Smart Function Kit プレス で構成されています。このボッシュ レックスロスのサーボプレスはすぐに設置が可能で、これを使ってさまざまな接合・測定機能が迅速かつ容易に実装できます。レックスロスのソリューションの特長:メカトロニクス サブシステムは、最適に調整され、事前構成済みの個々のコンポーネントからなり、プリインストールされたオペレーティング ソフトウェアが搭載されています。

これに加えて、ユーザーはインテリジェントなeToolsを使用して、プレスおよび接合アプリケーション用のSmart Function Kitをオンラインで設計・注文するか、Cerasus社のように、ボッシュ レックスロスと調整の上、特定のアプリケーション向けに設計することができます。どちらのオプションもエンジニアリングの時間を短縮します。CADデータおよび文書は、オンライン コンフィギュレーターからダウンロード可能です。「私たちは固有のソリューションについて、ボッシュ レックスロスの献身的で有能なエンジニアリング サポートを高く評価しています」 と、Cerasus社のマネージングディレクター、ガブリエル・ベッシュ氏は述べています。「これは業界では当然のことではなく、当社にとって差別化の要因とになっています」

右:Fruitcore製コボット「ホルスト」、左:レックスロス製ctrlX Coreコントロール(アルミフレームで保護)

精密作業:ボッシュ レックスロスのSmart Function Kitをベースにしたサーボプレス(左)は、金属スリーブにミリ単位の小さなスロットル部品「フリット」を圧入します。(画像:Cerasus GmbH)

すぐに使えるサーボプレス

Smart Function Kit プレスを使用することで、システムインテグレーターやエンドユーザーは、最大70 kNの定格力(最大力72 kN)で、幅広い標準的な接合作業に対応するサーボプレスを迅速に実装できます。モジュラー式で即設置可能な完全ソリューションは、ボッシュ レックスロスの最適に組み合わせられた機械コンポーネントと電気コンポーネントを、オペレーティング ソフトウェアがプリインストールされたサブシステムに統合しています。ガイド付きの試運転と便利なグラフィカルなプロセス作成は、わずか数分で完了します。一体型力学センサーは、品質保証のための測定機能もマッピング可能です。プロセスデータは、HMIにより簡単に視覚化でき、オープンインターフェースを介して送信できます。

エンクロージャ内のロボット、その隣にグラフィックを示すスクリーン

ボッシュ レックスロスのモジュラー式サーボプレスを搭載したコンパクトな CERAFLEX組立用セルは、最大10時間自律的に動作します。(写真出典:Cerasus GmbH)

Smart Function Kit:時間を節約し、さらには柔軟

CERAFLEX組立用セルを導入することで、Cerasusはこれまで手作業で単調だった顧客向けフリット組立作業を自動化することができました。その結果、より少ない時間でより多くの生産が可能になりました。挿入、プレス、測定に加え、製造されたスロットル部品の分類も完全に自動化されました。流量抵抗を測定した後、軸ロボットが製品を不良品と良品を分別するために異なるタンクに入れ、特定の測定値を持つスロットル部品を他の用途のために一時的に保管します。

モジュラー式サーボプレスを使った高精度で再現可能なプロセス

手動のフリット組立に比べ、ボッシュ レックスロスのモジュラー式サーボプレスは、精度とプロセス安定性が大幅に向上しています。「したがって、プレス工程では、動きと力の正確な値が必要となります」 とベッシュ氏は説明します。力変位測定による品質監視機能が統合されているため、Cerasus社はプロセスを分析し継続的に改善できます。過度に大きな許容誤差は、加える開始力によって認識できます。これにより欠陥部品が早期に検出されるため、ツールの損傷が回避できます。

オートメーションにより年間生産量を3ヶ月で実現

CERAFLEXセルは最大10時間自律的に動作し、2交代体制で24時間連続運転が可能です。サイクルタイムが約1分のロボットとサーボプレスにより、これまでの年間生産量を非常に短い時間で処理できるようになりました。この時間短縮を踏まえて、同社はCERAFLEXセルに二つ目のタスクを加えました。このため、Cerasus社はもう一つの定格力12 kNのSmart Function Kitと電気機械式シリンダを使用しています。その他の装備は変更しないため、セルは半日で変換可能です。第二のプレスアプリケーションには長さ制御が内蔵されています。必要な距離測定は、プレス高さなどの力変位記録によって行われます。

前方右側はFruitcore製コボット「ホルスト」、後方左側はレックスロス製ctrlX Coreコントロール(アルミフレームで保護)

ミリ単位の小さなスロットル部品、いわゆる「フリット」がボッシュ レックスロスのSmart Function Kitをベースにしたサーボプレス(左)によって金属スリーブに圧入されます。(画像:Cerasus GmbH)

オープン制御プラットフォーム ctrlX COREで柔軟性が向上

ロボットセルにおける高レベルのオートメーション化と生産性を実現するのは、Cerasus社が開発したコントロールソフトウェア、ボッシュ レックスロスの柔軟なサーボプレスとオープン 制御プラットフォーム ctrlX CORE の組み合わせです。「我々がSmart Function Kit プレスを選んだ理由は、その高いコストパフォーマンスだけでなく、プレス工程の簡単かつ迅速な調整にありました」 とベッシュ氏は説明します。「制御プラットフォーム ctrlX COREでは、非常に短い納期とアプリケーションによる幅広いオープンインターフェースと柔軟な拡張オプションがあり、さまざまなプロジェクトに持続可能な基盤が提供されることに感銘を受けました。」

左:Smart Function Kit プレス、中央:ctrlxコントロールセンター、右:ディスプレイを保持する2本のアーム。グラフィック表示ディスプレイ

効率的なプレス、成形、テスト:Smart Function Kit プレスは、最大70 kNの定格力(最大力72 kN)に対応する完全なメカトロニクス パッケージです。プリインストールされたオペレーティング ソフトウェアにより、素早く簡単な試運転、セットアップ、プレセスモニタリングが可能になります。(写真出典:Bosch Rexroth AG)

Web HMIでのセットアップ

Cerasus社は、HMIインターフェースを含むロボットセル用のモジュラー式ソフトウェアのプログラムを作成しました。「2つの機能を1つにまとめたこのソリューションは、別の機械を設置するスペースを節約でき、生産の柔軟性も高まるため、お客様から高い評価を得ています」 とベッシュ氏は報告しています。どちらの場合もシステム全体はctrlX CORE制御プラットフォームと、それに適合するctrlX I/Oモジュールによって制御されます。CODESYSでプログラムされたCERAFLEXソフトウェアが、個々のコンポーネントの連携を管理します。WebIQ HMIは、Smart Function Kitのプラットフォームに依存しないオペレーティング ソフトウェアも機械の概要に統合しています。WebIQを使用すると、プログラミングの専門知識がほとんどなくても、ctrlX AUTOMATION用のWeb HMIを簡単に作成でき、少ないディスプレイでシンプルなプロセス制御が実現します。ctrlX World Partner Smart HMIのWebIQアプリは、ctrlX COREで直接実行されます。パートナーネットワーク ctrlX Worldは、ハードウェアと新しいアプリで、オートメーションツールキット ctrlX AUTOMATIONの可能性を広げ、最大限の柔軟性を実現します。

未来の組立セルの基盤

Cerasus社は現在、標準化された力調整可能なプレス工程を備えた実証済みのCERAFLEXコンセプトをさらなるターンキー・ソリューションを効率的に生み出すための柔軟な基盤として使用しています。「当社のプレスおよび測定用ソリューションキットには、距離とプレス力を監視して接合するために必要なものがすべて揃っています」 とベッシュ氏は述べています。「コンポーネントのマーキングや出力、検査などのさらなる工程も簡単に統合できます。オペレーティング ソフトウェアは非常に直感的であるため、シンプルで迅速なインスタレーションが可能です。さらにオートメーション プラットフォームであるctrlX AUTOMATIONは、高い統合性と将来性を提供してくれます」。

振り返って、ボッシュ レックスロスのSmart Function Kitと制御プラットフォーム ctrlX COREにベッシュ氏は非常に満足しており、次のように語っています。ハードウェアおよびソフトウェアソリューションは、約束どおりの性能特性を満たしています。スイスでの現地サポートとドイツからのプログラミングサポートはうまく機能し、すべては予定通りに完了しました。Smart Function KitとctrlX AUTOMATIONにより、お客様のために特に経済的で信頼性が高く、柔軟性の高いソリューションを開発することができます。」

お問い合わせ

詳細とサポートについては、以下よりお問い合わせください。

お問い合わせ
執筆者:マルクス・ガイガー


執筆者: マルクス・ガイガー

役職:スイス ファクトリーオートメーション・チャネル開発マネージャー