倉庫内でのモバイルロボットの利用が進む中、手動搬送車と自動搬送車のスムーズな連携を確保することが、さらに重要になってきています。しかし、混合するフリートを効率的に編成するにはどうしたらよいでしょうか?
現代のダイナミックな倉庫作業では、無人搬送車(AGV)や自律型モバイルロボット(AMR)が、イントラロジスティクス業務に不可欠な要素となっています。2028年までに、大企業の50%が倉庫または生産工程でモバイルロボットを使用する予定と言われています1。また大企業の40%が、今後5年以内に倉庫業務で混合搬送車の使用を検討しています1。こうした搬送車は労働者の負担を軽減しタスクを引き継ぎ、その結果トラフィック量は増加します。そのため、倉庫内のトラフィックが完全に可視化され、一元管理されていないと特に困難となります。
すべての作業がモバイルロボットによって自動化できるわけではないため、有人車の使用も依然として必要です。しかし、混在オペレーションにはさまざまな課題があります。
これらの課題の解決策は、手動搬送車を強力なフリート管理システムに統合することです。2026年までにイントラロジスティクスロボットを使用する企業の50%以上がマルチエージェントオーケストレーションを使用するようになると予測されています1。これが非常に価値のある投資になる理由を示します。
手動搬送車をフリート管理システムに統合するために重要な側面は、VDA 5050などの規格への対応です。これは、搬送車と上位レベルのシステム間のシームレスな通信と連携のための統一されたインターフェイスとプロトコルを定義するものです。VDA 5050準拠のソリューションを導入することで、フリートの相互運用性を向上させ、倉庫トラフィックの効率性をさらに高めることができます。
したがって、手動搬送車を既存のVDA 5050準拠のフリート管理システムに統合することは、倉庫業務の効率化とコスト削減に向けた重要なステップとなります。この目標を達成するためには、適切なテクノロジーで手動搬送車の仕様を変更し、効果的なリアルタイムの自己位置推定とトラッキングを確保する必要があります。これを可能にするさまざまなテクノロジーがあります。たとえば自動搬送車の実績のあるレーザーベースの「自己位置推定同時地図作成」(レーザーSLAM)テクノロジーは、手動搬送車でもよく使用されます。
レーザーSLAMは、有人フォークリフトトラックとモバイルロボットを産業環境で自己位置推定するための高度な手法を提供します。他のテクノロジーと比べても、低い試運転コストで高精度です。この目的のために、搬送車にはレーザースキャナーが標準装備または後付けされています。センサーはレーザー光を照射し、物体の反射を測定します。同時に、アルゴリズムが車両の動きを分析し、周囲のリアルタイムのマップを作成します。この地図作成と自己位置推定の同時機能により、動的な倉庫環境であってもリアルタイムで車両の位置を特定して移動することができます。
レックスロスのレーザーベースの自己位置推定ソフトウェアRexroth ROKIT Locatorの SLAM アルゴリズムを使用し、モバイルロボットと手動搬送車の両方の位置推定が可能です。ROKIT Locatorにより、インフラストラクチャーの追加調整がなく、搬送車の位置と動きをリアルタイムで正確に検出できます。またAPIにより、既存の相互運用可能なフリート管理システムへのシームレスな統合が可能になります。これらの結果、相互運用可能な車両フリートの正確な連携が実現し、手動搬送車のリアルタイム監視やルート最適化、衝突回避が可能となります。
さらに自己位置推定ソフトウェアは、手動搬送車の性能の分析および最適化を可能にします。データを継続的に収集することで、さらなる業務改善を行うことができ、さらに効率を高めることができます。
AMR、AGV、フォークリフトトラック – ROKIT Locatorを柔軟に使用
ボッシュ レックスロスは、ACTIVE シャトル管理システム(AMS)でVDA 5050規格に対応しています。
ACTIVEシャトル管理システム(AMS) ボッシュ レックスロスは通信規格であるVDA 5050規格をサポートし、倉庫トラフィックの調整を簡素化するフリート管理システムを提供します。セントラルシステムは、自律型モバイルロボットの注文を制御し、倉庫内のトラフィックを管理に使用できます。
ボッシュ レックスロスは、AMSフリートマネージャーのVDA 5050規格に対応することで、手動搬送車をROKIT Locatorに接続し、事故や運用上の非効率性、倉庫通行における連携の問題を減らすることを目指しています。AMSは、VDA 5050対応車両のオーケストレーション機能を備えており、一般的なVDA 5050フリート管理システムと比較して機能的な付加価値を提供します。
1https://futureiot.tech/orchestrating-the-heterogeneous-robot-fleet/. 2024/07/18に取得。
執筆者: イェルク・ヘッケル
役職: プロジェクト・ロボティクス部門 部門長