製品・システムのサービスはどこから始まり、どこまであるのでしょうか?製品のサービス対象期間はもちろん、それ以降も寄り添ってくれるのが理想です。しかしながら、溶接テクノロジー分野のサービスは注目されることがなく、ほとんど提供されていないのが現状です。ボッシュ レックスロスは、PSI6000およびPRC7000の製品において溶接制御装置向けに設計された溶接サービスを備え、業界の新境地を開拓しています。これは溶接制御システムが将来の課題に適合していることを保証するサービスです。近年、自動車業界のお客様から特に求められているのが、製品の再生と溶接パラメーターの最適化という2つのサービスです。
ボッシュ レックスロスが提供する抵抗スポット溶接のサービス範囲は、試運転からセカンドライフに至るまで多岐にわたります。たとえば、使用済みの制御ユニットを再生することで新たな命を吹き込みます。これにより溶接制御システムの寿命が伸び、ダウンタイムを最小限に抑え、計画的なコストで使用できるというメリットがあります。また、製品やコンポーネントを廃棄するのではなく再調整・再利用するため、資源の節約にもつながります。
自動車産業の製品サイクルは、通常5年から7年です。その後は生産ラインの再構築や改造を行い、新モデルを生産します。コストや効率を考えると、既存のラインを2回目、さらに3回目の製品サイクルにも使用するのは理にかなっています。ボッシュ レックスロスは再生により、「古いものから新しいものへ」という原則に従って摩耗した部品を交換することで、溶接制御システムの使用を継続する可能性を高めます。省資源への意識の高まりとともに、サービスに対する需要も急増しています。
これには電力用半導体素子、ファン、電解コンデンサなど、すべての電気・電子機械消耗部品の予防交換が含まれます。ボッシュ レックスロスはさまざまな再生レベルを用意しており、選択できます。これにより、交換するハードウェアの数量が決まります。個別の選択も可能で、たとえば特定のフォルトフォーカスや安全機能を交換することができます。
対応可能なユースケース:自動車メーカーの溶接キャビネットは世界中の拠点から集められ、新しいプロジェクトのために準備やオーバーホールを行います。またボッシュ レックスロスの「PÜ Smart」サービスに準じて、総合的なオーバーホールを行います。ここでの作業にはクリーニングの他、制御エレクトロニクスやパワーエレクトロニクスの分野では消耗品の交換も含まれます。さらにスペシャリストが現在のハードウェアの状態に合わせて、すべてのデータとパラメーターの再調整を行い、機能テストと耐久テストを実行します。加えて高電圧・絶縁試験を実施し、新しい銘板を印刷します。文書化とアーカイブ作成を行い、これらのプロセスは完結します。
ボッシュ レックスロスでは、これらのキャビネットに12か月間の工場渡し保証を適用します。新品の部品購入と比較した場合、約50%のコスト削減を実現できます。さらに、サステナビリティと環境面でのメリットもあります。
また、広範な再生サービスも利用することができ、24か月の保証期間(最大で60か月のオプションあり)を提供しています。
現在需要が高まっているサービスが、溶接パラメーターの定義と最適化です。これは特殊な要件において常に新しい材料の種類や組み合わせが開発されており、スポット溶接の品質や接合部のプロセス信頼性を求める声が高まっているからでしょう。そのため、市場ではさまざまな組み合わせの接合が求められています。要件はますます厳しくなり、初回の溶接の基本パラメーターを見つけるのも困難なレベルです。
ボッシュ レックスロスでは、豊富な経験と対応するデータベースにより、初期パラメーターのリストを作成できます。これらのパラメーターにより、ユーザーはすぐに優れた溶接結果を得ることができます。このサービスは試運転の前でも利用でき、機器の立ち上げ時の時間とリソースを節約することができます。パラメーターデータの価格は固定で、計画や予算の確実性を確保できます。
また工場内の既存のパラメーターを最適化し、安全性と品質の高い生産を確実に行うことも課題の一つです。ボッシュ レックスロスは、設置数で10万台を超える溶接コントローラ、付帯サービス、専門の分析ツールを備え、迅速かつ専門的なシステムの最適化を支援します。これらの作業はリモートでも現場でも実行できます。このように安定したプロセスを実現することで、ユーザーのやり直しやテスト作業の増加を防ぎます。つまりエラーが減り、品質が向上します。
溶接コントローラの製品寿命の延長、あるいは溶接プロセスの最適化など、ボッシュ レックスロスによる溶接サービスは、コスト意識が高く、サステナブルな抵抗スポット溶接の未来を切り拓きます。
執筆者: Gunther Armgart
役職: Bosch Rexroth AG、フィールドサービス抵抗溶接責任者
執筆者: Dennis Bartmann
役職: Bosch Rexroth AG、サービス修理溶接システム責任者